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【小学校高学年】生徒間トラブルの解決策と予防法

小学校の高学年になると、生徒同士の衝突やいじめ、ちょっとした言い合いなど、様々なトラブルが増えてきます。文科省の資料を見ても、学年が上がるにつれてトラブルが顕在化しやすくなる傾向が指摘されており、現場の教員にとっては大きな悩みの一つです。
本記事では、長年公立小学校で教諭・副校長を務めてきた経験をもとに、高学年特有の生徒間トラブルを解決・予防するための具体的な方法を解説します。学校現場で「すぐに実践できる」「現場で本当に役立つ」内容を中心にまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

生徒間トラブルの主な原因とは?

高学年になると、子どもたちの成長に伴って人間関係や自己主張が複雑化し、トラブルが起きやすくなります。ここでは、主な原因を3つに分けて見ていきましょう。

人間関係の変化

クラス替えや部活動、グループ活動の増加などによって、友人関係が大きく変わる時期です。仲の良かった友だちが別のグループに行ってしまう、あるいは新たに親しくなった友だちの性格が合わないなど、多様な要因でトラブルが生じやすくなります。

自己主張の強まり

高学年になると、自我が発達して「自分の意見を通したい」「自分の存在を認めてほしい」という思いが強くなります。その結果、意見の食い違いが起きたときに譲り合いができず、衝突につながりやすいのです。

SNSの影響

最近はスマートフォンを持つ子どもも増え、LINEやSNSがトラブルの温床になるケースも珍しくありません。文字だけのコミュニケーションは感情が伝わりにくく、誤解や言い過ぎが生まれやすいため、学校現場の先生からも注意喚起の声が多く上がっています。

トラブル発生時の具体的な解決策

トラブルを放置すると、子どもたちの心の傷が深くなったり、学級全体の雰囲気が悪化したりする恐れがあります。ここでは、トラブルが起こったときに教師としてとるべき具体的な対応策を解説します。

すぐに話を聞く

早期対応が問題の深刻化を防ぐ第一歩です。トラブルが起きている兆候を見かけたり、他の生徒から相談を受けた場合は、迅速に当事者から話を聞きましょう。一対一で話すときは相手の気持ちに寄り添い、「どう感じたのか」「何があったのか」を丁寧に確認します。そうすることで、子どもの心情を理解しやすくなります。

冷静に事実を確認する

感情的になりやすい子どもたちにとって、事実関係があいまいなままでは解決につながりません。当事者双方の言い分を聞き、公平性を担保しながら「何が起こったのか」を冷静に整理することが大切です。必要に応じて、周囲で見ていた生徒や別の教師に確認をとるなど、情報収集を徹底します。

保護者との連携

トラブルが大きくなった場合や、継続的に問題が起きている場合は、早めに保護者と連絡を取り合うことが重要です。家庭での様子や考え方を共有し合うことで、より効果的な解決策を導き出せます。また、学校側が保護者の意向を知ることで、今後の対応方針を明確にしやすくなります。

生徒間トラブルを未然に防ぐ方法

起こってしまったトラブルに対応するだけでなく、未然に防ぐことも学級経営の大切なポイントです。ここでは、普段から実践できる予防策を3つ紹介します。

クラスのルール作り

学級目標やクラスルールを生徒と一緒に話し合いながら作ると、子どもたちの当事者意識が高まります。「ルールを守る理由」「みんなが快適に過ごすメリット」を教師が丁寧に説明することで、トラブルを減らす土台ができます。

コミュニケーションの機会を増やす

グループ学習や班活動などの協働的な学習を定期的に取り入れると、子ども同士で意見を交換したり、話し合いのスキルを身につけたりする機会が増えます。私が教諭時代に実践した事例では、ICTツールを使ったオンラインの協働学習も有効でした。Google ClassroomやMicrosoft Teamsなどでグループワークを行うと、意外なアイデアが出てきたり、互いを理解するきっかけになったりします。

問題解決スキルの指導

トラブルが起こった際に、どのように話し合い、どうやって意見を擦り合わせるかをあらかじめ指導しておくことも重要です。たとえば、文科省の研究でも取り上げられている「アサーション・トレーニング」(適切な自己主張法)などを教材に取り入れると、子どもたちのコミュニケーション力が高まり、自分の考えを冷静に伝える練習ができます。

FAQ

トラブル対応や学級経営において、よく寄せられる質問にお答えします。

  • Q: すぐに解決できない場合はどうすればいい?
    • A: 急いで結論を出そうとすると、問題の根本を見誤るケースがあります。焦らずに時間をかけて事実関係や子どもたちの感情面を把握し、「なぜトラブルが起こったのか」という原因をじっくり探ることが大切です。
  • Q: 学年主任や管理職に相談すべき?
    • A: 問題が深刻化しそうなとき、あるいは複数のクラスや学年に波及しそうなときは、早めに学年主任や管理職と情報共有しましょう。学校全体で取り組むことで、解決策を多角的に検討できます。

まとめ

高学年の生徒間トラブルは、子どもたちの成長とともに避けて通れない部分もありますが、教師が適切に対応し、予防策を講じることで大きな問題に発展するのを防ぐことは可能です。クラスのルール作りやコミュニケーションを重視した学習活動、そして保護者との連携などを通じて、トラブルの芽を早めに摘み取りましょう。こうした取り組みは学級経営の安定にも直結し、教師自身の負担軽減にもつながります。